30年近く映画のプロモーションをしている。たびたび、記者会見というのをセッティングし、いろいろなパターンで行う。いわゆる映画の宣伝というエンタテインメントであり、目的はあくまでも映画のヒットにつなげる為の手段ということでだけど、30年もやっていると宣伝の為とはいえいろいろなことも起こった。
ハリウッドの大物が会見途中で帰ってしまったり、韓国の大物が飛行機に乗り遅れ大幅な遅刻したり・・・。その時のプレスの方々の対応は大変だ!遅れた理由、帰った理由、この調整が大変!
寝坊だと思うが、とりあえず「体調が不良」にしちゃおうか・・で、しちゃうと
「どんな病気か?」「熱はあるのか?」「病院に行ってるのか?」・・・・・と、片っ端から責められるので言えないし、ケロっとして登場されても困る。
そんな時は、しょうがない
「詳細はわかりません。多分寝坊かと・・・・寝坊の理由は不明です。体調不良も考えられます」
「パスポート忘れたようで飛行機乗り遅れたようで・・・・」などなど、最終的には正直に話すしかない。その方が、結果的には、記事が大きくなって、一般への認知度は上がり宣伝的にはOK!
しかし、不祥事だったり、トラブルだったりのあまり知られたくないようなことに出くわし会見を仕切らねばならないこともある。その時は、もう、大変である。必要以上に悪く報道されないように記者と相談したり・・・・・で、結局、小細工せずに正直に隠さず話す。これに限ると学んだ。
一か月以上お付き合いしている東電・保安院などの会見。
内容のお粗末さや、誰に広報しているのか不明などは、もう、語りつくせないほどあるので今さら語ることもない。
そして、昨日から大変な事態が会見でまき起こっていた。
それは、いよいよ本日から始まる東電・保安院・安全委員会が合同で会見だ。そこに官邸から細野議員も加わることが発表された。
問題は、その会見に入れる媒体に関してだ。これまで、東電や保安院の会見は、大手メディアからフリーのジャーナリストも入ることが可能だった。しかし、今日からは入れる報道関係者の再チェックをすることとなった。いわゆる新聞協会やテレビ協会などは文句なくOK。それでも、名前の登録など緊急の場合の時の名前は、その本人が行けず代わりの人・・・・クルーはどうなる?写真部は?など、いろいろと注文を出していたが、そんなの腕章か社員証でOKだと思うが・・・「確認します」
と、相変わらずの東電の対応には驚いたが、さらなる問題は、フリーのジャーナリストとネット媒体だった。
映画の宣伝でも、会見に入れられる媒体で揉めることも良くある。芸能関係だと、裁判中なので入れられない某女性誌だったり、写真誌だったりでよく受付でもめたりする。
さらに、大物会見や話題作の試写会など、フリーのライターに困る事がある。いわゆる書いている媒体のない人は入室禁止にすることが多々あるからだ。最近困るのが、HP、ネットとブログである。HP、ネットに関しては、基本的には問題ないが、ブログに関しては、何とも言えない。
困るのがブログ形式のホームページ。判断が難しい。
まあ、エンタテインメントの宣伝という事で、そこそこなら、その場の宣伝の判断でOKにしたり、NGにしたり・・・・・。
しかし、今回はとんでもない世界を巻き込んだ人災。原子力事故だ。
どうも、特にフリージャーナリスト・ネット・HPなどの判断が二転三転していた節がある。
レギュラーの枠がないからフリーであって、その代り規制を受けずに取材をし、大手が報道しない内容をズバズバと切り込んで書いていく。それは、週刊文春だったりの一般週刊誌だったり。
うかつに会見に入れないと何を書かれるかわからない。CATVやラジオなどでしゃべる可能性もある。本当は一般庶民はその情報を聞きたがっている。
さすがにそれは東電もわかっているようで、入れる。しかし、ネット中継をしている媒体が一時、入れないと言われたようだ。何時間かかるかわからない会見を常に全部を中継してくれるTVなどない。CATVではやっていたが、最近、途中で終わる。そこで、ネット中継を食い入るようにみてしまう。今回の事故がなければ、見なかったかもしれないが、今はものすごい数の人がみていて、事故の収束が遅くなればなるほど見る人は増えていく一方で、へたなTVより視聴率的に言えば、高いかもしれない。高くしているのは東電だったりするが・・・・
そんなこともわからずに、簡単に最初は、会見参加許可を出さなかった。
その事をTwitterなどでつぶやくと、もう、大変だった。誰もかれも「なぜなのか?」と疑問を持った。大物があちこちに働きかけたのかもしれない。
そこで、やっとOKになった。ネット中継やフリーの人たちのパワーを知ることになった。
ただ、質問者の方々にも問題がある人もいる。東電の悪事が暴かれるのと同時に記者サイドの質問もみんなが注目しているのだ。大手のメディアの人たちも最初に比べかなり勉強をしていて、科学的な質問もガンガンするようになっていて、大したもんだと思いつつ、難しすぎることもしばしば。しかし、フリーの方々やネット中継媒体などは一般の庶民的な疑問をぶつけてくれる。と、バランスがいい。
ただ、中には困っちゃう人もいた。まだ、参加登録受け付けてないうちに、自分は登録できないと思い貴重な会見時間を使い、ああでもない、こうでもない、「自分が駄目なのはT氏のせいだ僕は違う・・」と、叫びまくった人がいた。これはちがう。これをやってしまったら、終わりだ。記者のレベルが下がってしまう。東電たちの思うつぼ。この人は、登録不可になったのだろうか?
まあ、こんなことになっちゃったのは、隠蔽からはじまり、今なお隠蔽をしようとしている側、東電・保安院・政府。これからも責められ続けるであろう。自業自得だ。そして、収束が延びれば延びるほど反原発は広がっていく。
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