2011年5月18日水曜日

僕のお婆ちゃんが、まじめな顔をして

僕が学生だった今から3~40年前、まだ、僕のお婆ちゃんは元気だった。
お婆ちゃんは英語の先生をしていたりとハイカラばあちゃんだった。
しかも、根っからの巨人ファン、ラジオで試合開始から終了まで負けても勝っても聞いていた。勝てば機嫌が良かった。しかも、解説者なみの分析力は凄かった。
そんなお婆ちゃんだった。その当時で、80過ぎていたと思う。
物事もクールにみてその当時の年寄としては考え方が若かった。
普通なら、「早く結婚してひ孫を・・・」というところだけど、そうではなかった。
「これから先が良い時代になるとは限らないから、急いで結婚することはない。子供も、子供にとって良い未来が来ないと思うなら子供を作ることはない!」とそんなことをいうお婆ちゃんだった。

当時僕も高校から専門学校への時代

バンドなんかもやったりして、女の子の友達も多かった。
家に遊びに来たりもした。

そんな時に必ずお婆ちゃんが言っていたことを最近思いだす。

「大丈夫かい?友達の女の子」
「ん?」
「どこの娘かい?」
「どこって、東京の娘だよ」
「それならいいよ。広島や長崎の娘との結婚はやめときなさい」

普段はおっとりしているお婆ちゃんだったが、この時ばかりは真剣だった。

でも、ほとんど気にしていなかった、

そして、時は流れ
僕も二十歳をすぎた頃だった。
東京出身なもので、それまでは、東京や東京近郊の知り合いの女の子が多かったけど、二十歳くらいになると、東京に出てきている大学生の女の子の友達もできた。
そんな一人が、広島出身だった。
特にとても親しい関係という事もない友達程度の娘だった。
さりげなく、その女の子の話題が出た時にお婆ちゃんがいた。

「広島の娘はだめだ。結婚はダメだよ」
別にそんな風に彼女のことを思っていたわけではないが、普段はおっとりして面白い話をするお婆ちゃんだったが、この差別的な言い方には腹が立った。
大好きで尊敬するお婆ちゃんだったので腹が立ったのは、後にも先にもこの時だけだ。
「僕の友達に失礼だ!広島出身といっても、もう関係ないじゃないか!まだ、被爆なんて・・差別は良くない!」と食ってかかった。

「私の知り合いに、被爆してその後つらい目にあってる人がいるんだよ。だからね」
「でも、大丈夫だ!広島の人すべてではない」
「そうかもしれないけど、お前が苦労するのをみるのがつらいから・・・・」
「苦労?」
「その娘さんと結婚して、二人はいいかもしれない。でも、子供を作って生まれた子供に問題があったら、二人は若くしてつらい人生を送ることになるよ。なにより一番つらい思いをするのは子供だよ。子供には責任もないのに・・・・」

あまりの説得力に何も言い返せなかった

今も、子供の病気で苦労されてる人もいっぱいいるが、あの当時は医療も進歩していないし差別も影ではまかり通っていた。確かに子供は苦労し、親たちもつらい。

広島の女の子。僕は、最終的には、相手にもされなかった・・・・。入らぬ心配にも程があったわけだが、当時はそのような話は普通に東京界隈でされていた。

あくまで、当時は、放射能により子供や孫の代にも影響するという漠然とした話で最終的には、「そんなことないじゃん。わかりっこない」と、いうことでいつのまにかそんな話もでなくなっていったはずだった。

しかし、今、福島の女性という事で結婚が破談になった人がいるとつぶやいている人がいた。

現代は放射能に関しても分析が進んでいる。影響もチェルノブイリなどで調査が進んだ。
年間100ミリシーベルト以上を妊婦が浴びると奇形児が生まれる確率がグーンとあがる。
この100ミリシーベルト一年経つといっきに消えるわけではないと思う。毎日測るわけにもいかないし、自分がどうなのかなどわからない。しかも、染色体に影響を与えると言う。女性は大丈夫なのか?男性だってどうなんだ?

おぼろげだが、30年前と違い放射能の影響が見えてきている。
子供の20ミリシーベルト問題のバカげたものもさることながら、大人の女性、いや生物すべてに対して、安全な場所への避難が必要と思う。どこに避難すれば安全なのだろうか?

風評をまきちらしている政府の対応が、遅いせいで、遅い対応の野菜からはじまり、牛乳、水、家畜、次に海産物に広がっていき、最終的に風評は人間に向いていくだろう。

福島の女性と結婚しない方がいい。

でも、ちょっと、その前に、色々と出てくるホットスポット。野菜や牛乳、水などがそうであったように福島でも場所によって違う。さらにいえば、東京都内でも、茨城でも、千葉でも、埼玉でも、栃木でも、群馬でも、神奈川でも高濃度野菜やお茶がみつかるようにその地域に住む女性とは結婚できないという風評が裏で広がってしまうかも。

風評ならいいけど、実害であったら・・・・。

妊娠中に奇形であることが判明をしたら、本当に辛いけど、心をこめて育てた牛と同様に殺処分をすることになるかもしれない。

今は、お婆ちゃんが言っていた
「子供に良い未来が来ないなら・・・・・・」
確かに、関東から東北にかけて不安な未来が来る事だけは予想がつく。

今夜も、街を歩く人たちの笑顔は少ないように見えた

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